仏道修行のゼロポイント

ゴータマ・ブッダの原像とヒンドゥ・ヨーガ

聖なる車輪

ブッダ存在を象徴するシンボリズムとその背景思想

ブッダの死後、数百年が過ぎる間に、社会現象としての仏教ムーブメントは、出家による瞑想修行実践から在家による信仰実践へと少しずつその比重を移していった事が知られている。 その中心となったのがストゥーパ信仰だ。 このストゥーパは、ブッダの遺体が…

『ブラフマン』とゴータマ・ブッダ【後編】

原始仏典のスッタにおいて、覚りに至ったブッダの事を『ブラフマン Brahman』という語を伴う呼称によって称賛し、ブッダの説いた修行道をブラフマンへ至る、ブラフマンになる道、と称するケースが随所に見られる。 このような、『ブラフマン』概念とブッダと…

身体の中の須弥山「輪軸」世界

大宇宙世界の中心車軸を万有の支柱スカンバとしてブラフマンに見立て、転変輪廻する現象界を車軸の周りで回転する車輪に見立てる。 「不動なる車軸(世界の支柱)をプルシャ=アートマン=ブラフマンと重ね合わせ、躍動する車輪を輪廻する現象世界プラクリテ…

勝者と敗者が対峙した時:相反する『車輪の原心象』

前回はインド・アーリア人の原風景、シンタシュタ文化のチャクラ・シティについて紹介した。彼らにとって、車輪やラタ車(戦車、馬車、牛車)がどれだけ重要であったかがイメージできたと思う。 インド・アーリア人にとってのラタ車とは、海洋民族にとっての船…

ラタ戦車を駆るアーリア・ヴェーダの民と『聖チャクラ(車輪)』

インド人にとっての輪軸のアナロジーがもつ重要性とその意味を、本当に実感を持って理解するためには、まずは車輪がインドにおいてどの様な存在だったかを、様々な角度から理解しなければならないだろう。 それにはまず、歴史的な理解が必要だ。この木製スポ…

世界の車軸(支柱)としての『ブラフマン=至高神』

『あらゆるインド思想の核心には、車軸と車輪のアナロジーが潜在している』 そう言ってもたいていの人にはいまいちピンとこない事だろう。 車軸と車輪の構造デザイン・機能は、インド思想の核心だ。Rath-Yatra-18 - Rath Yatra Live from puriより インド武…

チャクラ思想の2大源流とその展開

インドにおけるチャクラ思想の真実を求めて旅を続けた私は、やがて2つの源流にたどり着いた。ひとつは紀元前1500年に北西インドに侵入した、侵略者インド・アーリア人の文化的伝統であり、もうひとつは紀元前2200年ごろその最盛期を迎えた、インダス文明の…

転法輪の謎~それは何故、『車輪』だったのか?

仏教の四大聖地と言えば、シッダールタ誕生の地であるルンビニ、成道正覚の地ブッダガヤ、初転法輪の地サールナート、そして死の床に就いたクシナーガラが上げられる。 www.imgrum.net/より。菩提樹の下で禅定し正覚を得たブッダ これはサールナートで説法す…